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人事・採用の仕事に生成AIを使うには? 求人票・面接の準備・社内規程のたたき台と個人情報の線引き

ガイド·2026.10.23·最終検証: 2026.10.22·10 min read·
人事・採用の仕事に生成AIを使うには? 求人票・面接の準備・社内規程のたたき台と個人情報の線引き
赤木 孝臣

SETODEZA合同会社 代表 / せとうちAI 編集長

BBT大学卒業。システム開発・スタートアップ支援・マーケティングを経て生成AI事業を開始。SETODEZA合同会社代表として岡山・香川の中小企業へのAI導入を支援するほか、岡山市ももスタ「NoCodeBootCamp」を運営。せとうちAIの企画・編集を担当。

この記事は、専任の人事を置かず、求人票や面接の準備、就業規則の見直しを総務の担当者や経営者が他の仕事と兼ねている会社に向けて書きます。生成AI(ChatGPT・Claude・Gemini など、指示に応えて文章を作る AI)を使うと、こうし

この記事の対象

求人票・面接・就業規則の作業を、専任の人事を置かずに担当者や経営者がこなしていて、生成AIで手間を減らしたいが個人情報の扱いが不安な、岡山・香川の中小企業の担当者

結論
  • 生成AIは、求人票・面接の質問・社内規程の「たたき台」と「入れ漏れのチェック」に使い、合否や労働条件の中身は人が決める
  • 応募者や社員の名前・履歴書・評価は、そのまま入力しない
  • 求人票は2024年4月から追加された3つの明示事項、面接は厚生労働省の「配慮すべき事項」を AI に渡して確かめさせると、確認の手がかりになる
  • 法律の判断が要る点は、社会保険労務士・弁護士に確認する

この記事は、専任の人事を置かず、求人票や面接の準備、就業規則の見直しを総務の担当者や経営者が他の仕事と兼ねている会社に向けて書きます。生成AI(ChatGPT・Claude・Gemini など、指示に応えて文章を作る AI)を使うと、こうした文書の「たたき台」を作る手間を減らせる可能性があります。

一方で、人事の仕事は応募者や社員の個人情報と、採用の公正さに直接関わります。この記事では、人事・採用の3つの仕事について、すぐ試せるプロンプト(AI への指示文)の例と、入力してはいけない情報の線引きを、厚生労働省と個人情報保護委員会の公表資料のうち、2026年10月時点で確認できたものをもとに整理します。

生成AIに任せてよい仕事、人が決める仕事

先に線を引いておきます。この記事でおすすめするのは、生成AIを「下書きと確認の手伝い」に使うことです。

生成AIに手伝わせる人が決める
求人票の文面の下書き給与・勤務時間などの労働条件の中身
求人票の明示事項の入れ漏れチェック求人票を出してよいかの最終判断
面接の質問の候補づくり合否・評価
聞いてはいけない質問が混ざっていないかのチェック面接で実際に何を聞くか
就業規則の案、社員向けのやさしい説明文規則の最終版と届出

合否は人が決めることを私たちがおすすめする理由は、次の「公正な採用選考」の考え方にあります。

公正な採用選考とは

公正な採用選考とは、厚生労働省の説明では、「応募者に広く門戸を開く」ことと「応募者の適性・能力に基づいた採用基準とする」ことを基本にした採用選考です。

厚生労働省の公正採用選考特設サイトの Q&A は、AI を使う場合についても次のように書いています。

「AIの活用を含むいかなる方法による選考であっても、「応募者に広く門戸を開く」「応募者の適性・能力に基づいた採用基準とする」という公正な採用選考の基本的な考え方を遵守する必要があります。」

AI を使うかどうかにかかわらず、公正な採用選考の考え方は変わらない、ということです。私たちは、AI に合否や順位を決めさせず、人が理由を説明できる形で判断することをおすすめします。

使い方1: 求人票のたたき台と、明示事項の入れ漏れチェック

厚生労働省の案内によると、2024年(令和6年)4月1日から、労働者を募集するときに次の3つも明示する必要があります。

  • 従事すべき業務の変更の範囲
  • 就業の場所の変更の範囲
  • 有期労働契約を更新する場合の基準に関する事項(通算契約期間又は更新回数の上限を含む)

AI で作った文面でも、これらが抜けていないかの確認は欠かせません。下書きと確認を、別々の指示に分けるのがコツです。

下書きのプロンプトの例

中小企業の求人票の「仕事内容」を書いてください。
・職種:〔例:営業事務〕
・主な仕事:〔箇条書きで3〜5個〕
・必要な経験・資格:〔例:パソコンでの文書作成〕
給与・勤務時間・休日など、ここに書いていない条件は作らず「〔要記入〕」と書いてください。

入れ漏れチェックのプロンプトの例

次の求人票の文面に、下の3つが書かれているか確認してください。
書かれていない項目だけを挙げ、文面を勝手に補わないでください。
1. 従事すべき業務の変更の範囲
2. 就業の場所の変更の範囲
3. 有期労働契約を更新する場合の基準に関する事項(通算契約期間又は更新回数の上限を含む)
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〔求人票の文面を貼る〕

注意点が2つあります。1つは、AI は自社の本当の労働条件を知らないことです。条件を「それらしく」埋めてしまうことがあるので、空欄のままにさせる指示を入れます。もう1つは、この3つは以前からの明示事項に「追加」されたものだということです。AI のチェックは手がかりで、明示事項すべての確認にはなりません。「変更の範囲」の書き方は、厚生労働省や最寄りのハローワークの案内で確かめてください。

使い方2: 面接の質問の準備と、聞いてはいけない質問のチェック

厚生労働省は、就職差別につながるおそれがある事項の例として、本籍・出生地、家族(職業・続柄・健康・病歴・学歴・収入など)、住宅状況、生活環境・家庭環境、宗教、支持政党、人生観・生活信条、尊敬する人物、思想、購読新聞・雑誌・愛読書、労働組合・社会運動などを挙げています。同じページには「これらに限られるわけではありません」とも書かれています。

この一覧を AI に渡して、質問を作らせたり、手元の質問を確かめさせたりできます。

質問の候補を作るプロンプトの例

〔職種〕の採用面接で、仕事に必要な経験と能力を確かめる質問を10個考えてください。
仕事に必要なこと:〔例:電話応対、見積書の作成、来客対応〕
次のことに関する質問は入れないでください:
本籍・出生地、家族、住宅状況、生活環境・家庭環境、宗教、支持政党、人生観・生活信条、尊敬する人物、思想、購読新聞・雑誌・愛読書、労働組合・社会運動。

手元の質問を確かめるプロンプトの例

次の面接の質問の中に、下の一覧のことを聞く質問、または答えによってそれが分かってしまう質問があれば、番号と理由を挙げてください。
一覧:本籍・出生地、家族、住宅状況、生活環境・家庭環境、宗教、支持政党、人生観・生活信条、尊敬する人物、思想、購読新聞・雑誌・愛読書、労働組合・社会運動。
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〔質問の一覧を貼る〕

ここで渡すのは「職種と仕事の内容」と「質問の一覧」だけです。応募者の履歴書は貼りません。また、AI が見落とすこともあるので、最後は人が一覧と照らし合わせます。

使い方3: 就業規則など社内規程のたたき台

厚生労働省によると、常時10人以上の従業員を使用する使用者は、労働基準法第89条により、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。厚生労働省は規程例と解説をまとめた「モデル就業規則」を公開しています(2026年10月時点の掲載版は令和7年12月版)。

AI が役に立つのは、たとえば次のような場面です。

社員向けの説明文を作るプロンプトの例

次は当社の就業規則の〔休暇〕の章です。
社員向けに、やさしい言葉で説明する文を作ってください。
規則に書いていないことは足さず、分かりにくい点は「総務に確認」と書いてください。
---
〔該当の章を貼る〕

モデルと見比べるプロンプトの例

Aは厚生労働省のモデル就業規則の〔休暇〕の章、Bは当社の規則の同じ章です。
Aにあって、Bにない項目を一覧にしてください。Bを書き換える必要があるかどうかの判断はしないでください。
---
A:〔モデル就業規則の該当の章を貼る〕
B:〔当社の規則の該当の章を貼る〕

モデル就業規則は参考の例で、そのまま使えば足りるものではありません。厚生労働省も「各事業場の実情に応じた就業規則」を作るよう求めています。差分の一覧を手がかりに、社会保険労務士への相談をおすすめします。

個人情報の線引き: 応募者・社員の情報をそのまま入れない

個人情報保護委員会は、2023年(令和5年)6月2日の「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」で、事業者に次の点を求めています(2026年10月時点で確認できた公表資料)。

「個人情報取扱事業者が生成 AI サービスに個人情報を含むプロンプトを入力する場合には、特定された当該個人情報の利用目的を達成するために必要な範囲内であることを十分に確認すること。」

「個人情報取扱事業者が、あらかじめ本人の同意を得ることなく生成 AI サービスに個人データを含むプロンプトを入力し、当該個人データが当該プロンプトに対する応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合、当該個人情報取扱事業者は個人情報保護法の規定に違反することとなる可能性がある。そのため、このようなプロンプトの入力を行う場合には、当該生成 AI サービスを提供する事業者が、当該個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認すること。」

採用の応募書類は、採用選考のために預かった情報です。それを生成AIに入れてよいかは、利用目的やサービスの扱いによって変わる可能性があります。判断に迷う段階では、入れないのが安全だと私たちは考えます。なお、この注意喚起は2023年のものです。その後に追加の注意喚起が出ていないか、個人情報保護委員会のサイトで確かめてください。

入力する前のチェックリスト(人事の仕事向け)

  • [ ] 氏名・住所・電話番号・メールアドレス・生年月日が入っていない
  • [ ] 履歴書・職務経歴書・面接のメモ・人事評価を、そのまま貼っていない
  • [ ] 本籍・出生地や家族のことなど、厚生労働省が「配慮すべき事項」に挙げる情報が入っていない
  • [ ] 人の名前は「Aさん」「〔氏名〕」のように置き換えた
  • [ ] 会社が使ってよいと決めたサービスとアカウントで使っている
  • [ ] 入力した内容が機械学習に使われないか、サービスの公式の説明で確かめた
  • [ ] AI の出力を、人が読んで確かめてから使う

AI のサービスで実際に情報が漏れた事例と、その原因(設定・共有・ログイン情報の管理)は、AIで情報が漏れるって本当? 2026年の3つの事例に共通する原因で解説しています。

よくある疑問

応募者の履歴書を生成AIに入れて要約させてもいい?

おすすめしません。上の注意喚起のとおり、本人の同意なく入力した個人データが応答の出力以外の目的で扱われると、法律に違反する可能性があります。どうしても必要な場合は、使うサービスの扱いと自社の利用目的を確かめたうえで、社会保険労務士や弁護士に相談してください。

AIに書類選考や合否を決めさせてもいい?

AI を使っても、公正な採用選考の基本を守る必要があります(厚生労働省)。この記事では、AI は質問づくりや文書の確認にとどめ、合否は人が判断する使い方をおすすめしています。

AIで作った求人票や就業規則は、そのまま使える?

そのままは使えません。生成AIの文章には、事実と違う内容が混ざることがあります。求人票は自社の実際の条件と明示事項を、就業規則は自社の実情と法令を、人が確かめてから使います。

専任の人事がいない会社でも使える?

使えます。むしろ、兼務で時間が取れない会社ほど、下書きと入れ漏れチェックの手間が減る可能性があります。まずは個人情報を含まない「求人票の仕事内容の下書き」から試すと始めやすいでしょう。

向かない場面と注意点

  • 法律の判断を AI に任せない。 求人票の明示事項、就業規則、個人情報の扱いは、法律の解釈が関わります。AI の答えは参考にとどめ、必要なら社会保険労務士・弁護士に確認してください
  • 情報は時点で変わる。 この記事の制度は、2026年10月時点で確認できた公表資料によります。法改正や新しい注意喚起が出ることがあるので、使う前に公式の情報を確かめてください
  • 社内のルールが先。 誰がどのサービスを使ってよいか、会社として決めていない場合は、人事の仕事で使い始める前に決めておくと安心です

まとめ

  • 生成AIは、求人票・面接の質問・社内規程の「たたき台」と「入れ漏れのチェック」に使う
  • 合否・評価・労働条件の中身・規則の最終版は、人が決める
  • 求人票は2024年4月から追加された3つの明示事項、面接は厚生労働省の「配慮すべき事項」を AI に渡して確かめさせる
  • 応募者・社員の名前や履歴書は、そのまま入力しない
  • 法律の判断が要るところは専門家に確認する

社内で生成AIの使い方をそろえたいときは、せとうちAI の生成AI(ChatGPT・Claude Code など)の研修・勉強会も選択肢の1つです。内容は研修のページをご覧ください。

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