キーワードを入力してください(記事タイトル・タグ・カテゴリ)

せとうちAI

経理の仕事に生成AIを使うには? 請求書の確認・仕訳のチェック・経費精算の手順とプロンプト例

ガイド·2026.10.22·最終検証: 2026.10.22·9 min read·
経理の仕事に生成AIを使うには? 請求書の確認・仕訳のチェック・経費精算の手順とプロンプト例
赤木 孝臣

SETODEZA合同会社 代表 / せとうちAI 編集長

BBT大学卒業。システム開発・スタートアップ支援・マーケティングを経て生成AI事業を開始。SETODEZA合同会社代表として岡山・香川の中小企業へのAI導入を支援するほか、岡山市ももスタ「NoCodeBootCamp」を運営。せとうちAIの企画・編集を担当。

経理を1〜2人で回している会社では、請求書の確認や仕訳のチェックに時間を取られることがあります。この記事は、そうした中小企業の経理担当者と経営者に向けて、生成AIに「何を任せて、何を人が見るか」を整理し、今日から試せる手順とプロンプトの例を

この記事の対象

経理を1〜2人で回していて、請求書の確認や仕訳のチェックに生成AIを使えないか考えている、岡山・香川の中小企業の経理担当者・経営者

結論
  • 生成AIは、請求書の抜けの洗い出し・仕訳の確認の観点出し・経費の分類の下書きに向く
  • AIの回答は誤ることがあるので、元の書類と照合し、最終の判断は人・会計ソフト・税理士が行う
  • 渡すデータは画像より文字のPDFやCSV・Excelを選び、会社で契約したAIを使う

経理を1〜2人で回している会社では、請求書の確認や仕訳のチェックに時間を取られることがあります。この記事は、そうした中小企業の経理担当者と経営者に向けて、生成AIに「何を任せて、何を人が見るか」を整理し、今日から試せる手順とプロンプトの例を紹介します。

先に大事な前提をお伝えします。生成AIは確認の「下準備」には役立ちますが、答えを誤ることがあります。税金に関わる最終の判断は、人・会計ソフト・税理士が行う前提で使うことをおすすめします。

経理で生成AIを使うとは

生成AIとは、ChatGPT・Claude・Gemini のように、指示(プロンプト)に応じて文章や表を作るAIのことです。経理での生成AI活用とは、請求書や仕訳の一覧などを生成AIに読ませて、確認の観点出し・抜けの洗い出し・下書きを任せ、最終の判断は人が行う使い方のことです。

Claude は、PDF・Word・Excel・CSV などの文書と画像を読み込めます。Claude の公式ヘルプ(2026年10月時点)では、100ページ以下のPDFは、文字に加えて画像やグラフなどの視覚的な要素も分析すると説明されています。なお、Claude で Excel(XLSX)を読み込むには、設定でコード実行とファイル作成を有効にする必要があります。ChatGPT や Gemini で読み込める形式や上限は、各社の公式ヘルプで確認してください。

任せる作業と人が見る作業の線引き

経理の作業を、生成AIに向くものと、人が確かめるものに分けると次のようになります。これは公式のルールではなく、この記事のおすすめの線引きです。

業務生成AIに任せてよい作業人・会計ソフト・税理士が見る作業
請求書の確認記載事項の抜けの洗い出し、金額の書き出し登録番号が正しいか、税率ごとの消費税額、仕入税額控除の判断
仕訳のチェック確認の観点出し、気になる行の候補挙げ勘定科目と税区分の最終決定、会計ソフトへの登録
経費精算分類の下書き、社内規程と照らした確認事項の洗い出し精算してよいかの承認、規程の解釈
書類の保存(任せない)電子で受け取った請求書などを、国税庁のルールに沿って保存する

ポイントは、AIを「答えを出す係」ではなく「見落としを減らす係」として使うことです。

業務1:請求書の確認

国税庁は、インボイス(適格請求書)に書くべき事項を示しています。2026年10月時点の国税庁のページをもとに、受け取った側から見た確認項目を整理すると次の6つです。なお、国税庁のページでは、請求書に限らず、領収書や納品書など名称を問わず、これらの事項が書かれた書類がインボイスになるとされています。

  • [ ] 宛先(受け取った自社)の氏名または名称
  • [ ] 発行した事業者の氏名または名称と、登録番号
  • [ ] 取引の年月日
  • [ ] 取引の内容(軽減税率の対象品目なら、その旨)
  • [ ] 税率ごと(10%・8%)に分けて合計した金額と、適用する税率
  • [ ] 税率ごとの消費税額など

ただし、小売業・飲食店業・タクシー業などが交付する「簡易インボイス」は、宛先を省略でき、税率と税額はどちらか一方でよいとされています。宛先がないだけで不備とは限りません。書類の種類によって記載事項が違うことがあるので、迷ったら国税庁のページか税理士で確かめてください。

国税庁は、インボイスがない仕入れや経費は、原則として仕入税額控除(仕入れにかかった消費税を、納める消費税から差し引くこと)ができないと案内しています。簡易課税制度などの特例や経過措置もあるため、自社に当てはまるかは国税庁のページで確かめてください。

この6項目を、そのままAIへの指示にできます。

あなたは経理の確認を手伝うアシスタントです。
添付した請求書について、次の6項目が書かれているかを表にしてください。
書かれていれば、その記載内容を書き写してください。
見つからない項目は「見つからない」と書き、推測で埋めないでください。

1. 宛先の氏名または名称
2. 発行した事業者の氏名または名称と登録番号
3. 取引の年月日
4. 取引の内容(軽減税率の対象品目ならその旨)
5. 税率ごとに合計した金額と適用税率
6. 税率ごとの消費税額

最後に、金額の計算が合っていないように見える箇所があれば挙げてください。
(簡易インボイスなど、記載事項が違う書類の場合は、その可能性も書いてください)

「推測で埋めないで」と書くのは、見つからない項目をAIがそれらしく補ってしまうのを防ぐためです。登録番号が正しいかどうかは、AIの回答だけで判断せず、人が確かめてください。

業務2:仕訳のチェック

会計ソフトから仕訳の一覧をCSVやExcelで書き出し、AIに確認の観点を出してもらう使い方です。AIに仕訳を「決めてもらう」のではなく、人が見直す候補を挙げてもらいます。

添付したのは、今月の仕訳の一覧(CSV)です。
次の観点で、確認したほうがよい行を挙げてください。
行ごとに「どの観点で気になるか」と「理由」を表にしてください。

・同じ日付・同じ金額・同じ取引先の行が重複していないか
・摘要の内容と勘定科目が合っていないように見える行
・いつもと金額が大きく違う行
・税区分が空欄の行

判断がつかない行は「要確認」とし、正しい科目を断定しないでください。

取引先名などを入れたくない場合は、取引先の列を「A社」「B社」のような記号に置き換えてから渡します。挙がった行は、元の証憑(請求書や領収書)と会計ソフトで確かめてから直します。

業務3:経費精算

経費精算では、領収書の内容から分類の下書きを作ったり、社内の規程と照らして確認事項を洗い出したりできます。

次の経費の一覧を、勘定科目の候補ごとに分類した表にしてください。
科目が決めにくいものは、候補を2つまで挙げて理由を添えてください。

また、下に貼る社内の経費規程と照らして、
上限を超えていそうなもの・領収書以外の書類が要りそうなものを挙げてください。

【経費の一覧】
(日付・内容・金額を貼る)

【社内の経費規程】
(規程の該当部分を貼る)

精算してよいかの承認は、AIの表を参考にしたうえで、担当者や上長が行います。

すぐ試せる5つの手順

  1. 業務を1つだけ選ぶ。 最初は「請求書の6項目の確認」のように、正解を人がすぐ確かめられる作業がおすすめです
  2. 使うAIと入れない情報を決める。 会社で契約したプランを使い、口座番号や個人の情報など、入れない情報を先に決めます。たとえば Anthropic は、Claude for Work や API などの商用製品の入力と出力を、既定ではモデルの学習に使わないと書いています(2026年10月時点)。ただし、フィードバックを送った場合などは例外があります。自社のプランが当てはまるかは、公式の案内で確かめてください
  3. 渡し方を選ぶ。 画像やスキャンしたPDFの表は、読み間違いを照合する手間が増えるので、文字のPDF・CSV・Excelで渡すことをおすすめします。どの形で渡しても、元の書類との照合は欠かせません
  4. 上のプロンプトを試す。 自社の書類に合わせて項目を足したり削ったりします
  5. 元の書類と照らして、結果を記録する。 AIが見落とした点・誤った点をメモしておくと、使える範囲が見えてきます

注意点と、生成AIが合わない場合

  • 回答は誤ることがある。 Claude の公式ヘルプ(2026年10月時点)は、不正確な回答をすることがあり、唯一の情報源として頼らないよう案内しています。Gemini の公式ヘルプ(2026年10月時点)も、ハルシネーション(事実でない内容をもっともらしく示すこと)が起こり得るとし、金融などの専門的な助言として回答に頼らないよう書いています
  • AIに読ませても保存したことにはならない。 2026年10月時点の国税庁のページでは、請求書などをPDFなどのデータで受け取ったときは、そのデータもルールに沿って保存する必要があると案内されています。保存は、会計ソフトや社内の保存の仕組みで行ってください。最新の保存のルールは国税庁のページで確かめてください
  • 税金の判断は専門家に。 税区分や仕入税額控除の判断で迷うものは、税理士に相談してください
  • 合わない場合もある。 書類が手書きや画質の悪いスキャンばかりの場合、読み取りの照合に手間がかかります。また、使っている会計ソフトの機能で足りる作業もあるので、先に確かめるとよいでしょう

よくある疑問

経理の資料をChatGPTやClaudeに入れても大丈夫?

会社で契約したプランを使い、学習に使われない設定かどうかを公式の案内で確かめてから使うのが基本です。個人のアカウントは扱いが違うことがあります。たとえば Google のヘルプ(2026年10月時点)は、個人のアカウントで Gemini アプリにデータを共有した場合、そのデータがモデルの学習と改善に使われることもあると書いています。AIでの情報漏洩の原因は、AIで情報が漏れるって本当? 2026年の3つの事例に共通する原因で整理しています。

AIが出した仕訳をそのまま使ってよい?

おすすめしません。Claude や Gemini の公式ヘルプも、回答が誤ることがあると案内しています。AIには候補や確認の観点を出してもらい、決めるのは人です。

電子で受け取った請求書は、印刷して保存すればよい?

2026年10月時点の国税庁のページでは、紙に印刷すること自体は禁止されていないとしたうえで、データで受け取った請求書はそのデータもルールに沿って保存する必要があると案内されています。印刷して終わりにせず、データの保存のしかたを国税庁の案内で確かめ、迷う場合は税理士に相談してください。

経理が1人でも使う意味はある?

1人だと、確認を頼める相手がいないことがあります。生成AIを「見落としを探すもう一つの目」として使うのは一つの方法です。ただし、AIの確認があるからといって、人の確認を減らしてよいわけではありません。

まとめ

  • 生成AIは、請求書の抜けの洗い出し、仕訳の確認の観点出し、経費の分類の下書きに向いています
  • AIの回答は誤ることがあるので、元の書類と照合し、最終の判断は人・会計ソフト・税理士が行います
  • 渡すデータは文字のPDFやCSV・Excelを選び、会社で契約したAIを使います
  • 最初は業務を1つに絞り、結果を記録しながら使う範囲を広げます

自社の業務に合わせたプロンプトの作り方や、社内でAIを使い始める進め方を学びたい方は、研修のページをご覧ください。

シェア:XB!はてブ

次にできること

取材・事業提携のご依頼は お問い合わせ から

関連記事