マーケティングの仕事に生成AIを使うには? 調べ物・広告文の案・数字の分析と、出す前の確認


SETODEZA合同会社 代表 / せとうちAI 編集長
BBT大学卒業。システム開発・スタートアップ支援・マーケティングを経て生成AI事業を開始。SETODEZA合同会社代表として岡山・香川の中小企業へのAI導入を支援するほか、岡山市ももスタ「NoCodeBootCamp」を運営。せとうちAIの企画・編集を担当。
この記事は、岡山・香川の中小企業で、マーケティングの仕事を受け持つ方に向けたものです。専任がおらず、経営者や営業の担当がチラシやメルマガ、アンケートの集計を兼ねている会社を想定しています。生成AIの使いどころを、すぐ試せるプロンプト(AIへ
- この記事の対象
専任の担当がいないことも多い岡山・香川の中小企業で、調べ物や広告文・数字の分析に生成AIを使ってみたいマーケティング担当・経営者
- 結論
- 生成AIは、市場・競合の下調べ、広告文やメルマガの案、アンケートなどの数字の集計に使える
- 案と集計はAIに任せ、事実の確かめと、何を出すかの判断は人がする
- AIで作った広告文や画像も、自社が出す表示として、景品表示法と著作権の面から確かめてから出す
この記事は、岡山・香川の中小企業で、マーケティングの仕事を受け持つ方に向けたものです。専任がおらず、経営者や営業の担当がチラシやメルマガ、アンケートの集計を兼ねている会社を想定しています。生成AIの使いどころを、すぐ試せるプロンプト(AIへの指示文)の例と一緒にまとめます。
先に答えを書くと、生成AIに任せやすいのは「下調べ」「案出し」「集計」です。事実の確かめと、何を世に出すかの判断は人が持ちます。ツールの機能は、2026年10月時点の各社の公式ヘルプの記載に基づきます。今後変わることがあります。
なお、プレスリリースやSNS、取材対応などの広報の仕事は、この記事では扱いません。
マーケティングでの生成AI活用とは
マーケティングでの生成AI活用とは、文章や表を作れるAI(生成AI)に、調べ物の下書き・広告文の案・データの集計といった作業の一部を任せ、担当者は判断と確認に時間を使うことです。AIが答えを決めるのではなく、たたき台を速く出す係と考えると使いやすくなります。
中小企業のマーケティングで使いやすい仕事と、AIと人の分担の目安は次のとおりです(分担は編集部の考え方です)。
| 仕事 | AIに任せる部分 | 人が持つ部分 |
|---|---|---|
| 市場・競合の調べ物 | 情報を集めて要点をまとめる | 出典を開いて確かめる、自社に当てはめる |
| 広告文・LP・メルマガ | 材料から複数の案を出す | 案を選んで直す、表現が法令に合うか確かめる |
| アンケート・アクセスの数字 | 集計、表やグラフ、自由記述の分類 | 元の数字で検算する、次の手を決める |
| 画像の案 | 構図や雰囲気の案を出す | 既存の作品に似ていないか確かめる |
市場・競合の調べ物は、下調べをAIに任せる
競合の打ち出し方などを調べるときは、Web を検索してまとめる機能が役に立ちます。たとえば Google の Gemini アプリには「Deep Research」という機能があります。Google 検索を使って調べ、レポートの形にまとめてくれるものです。公式ヘルプでは、すべてのユーザーがレポートを作れるとされ、有料の Google AI Pro・Ultra では作れる数の上限が高くなります(2026年10月時点)。
プロンプトの例
岡山県・香川県で、中小企業向けに〇〇(自社の商品・サービスの種類)を提供している会社を調べてください。
- 会社ごとに、打ち出している特長・価格の示し方・対象の顧客を表にまとめる
- それぞれの情報に、出典のページのURLを付ける
- 確かめられなかったことは「不明」と書き、推測で埋めない
使うときの注意は2つです。
- 出典を開いて確かめる。 AIのまとめが、元のページと違うことがあります。表の中身を企画や資料に使う前に、URLを開いて自分の目で確かめてください
- 社外秘の情報を入れない。 自社の顧客名や未発表の計画を、調べ物の指示に書く必要はありません。情報の扱いは「AIで情報が漏れるって本当? 2026年の3つの事例に共通する原因」も参考にしてください
広告文・LP・メルマガは、材料を渡して複数の案を出させる
広告文やLP(広告から来た人が最初に見る、1つの商品を案内するページ)、メルマガの文の案も作れます。ただし、何も渡さずに頼むと、根拠のない特長や数字が混ざることがあります。材料を先に渡し、使ってよい範囲を決めてから頼みます。
手順は次の4つです。
- 商品の事実(内容・価格・条件・根拠のある特長)を箇条書きにする
- 下のプロンプトで、複数の案を出させる
- 人が案を選び、自社の言葉に直す
- 下の「出す前の確認」で表現を確かめる
プロンプトの例
次の材料だけを使って、〇〇(商品・サービス名)のメルマガの件名を5案、本文を2案書いてください。
【材料】
- 商品・サービスの内容:
- 根拠のある特長(数字は社内の根拠つき):
- 価格・期間・特典などの条件:
- 読んでほしい人:
- 読んだ後にしてほしいこと:
【守ること】
- 材料にない数字・実績・お客様の声を書かない
- 「必ず」「最安」「No.1」のような言い切りを使わない
- 他社と比べる表現を使わない
- 材料が足りないところは書かずに「要確認」と示す
「メルマガ」を「チラシの見出し」や「LPの冒頭の文」に変えれば、ほかの媒体にも使えます。
アンケートやアクセスの数字は、ファイルで渡して集計を頼む
顧客アンケートの集計や、Webサイトのアクセスの数字の読み取りにも使えます。公式ヘルプの記載は次のとおりです(2026年10月時点)。
- Claude(Anthropic): CSV(項目をカンマで区切った、表のデータの形式)や TSV のファイルをアップロードして、分析やグラフ化ができます。Free・Pro・Max・Team・Enterprise の全プランが対象で、1ファイル30MBまでです。Free・Pro・Max では初期設定でオンになっています。オフのときは、設定(Settings > Capabilities)の「Code execution and file creation」をオンにします。Team・Enterprise では、組織の管理者がオフにしている場合があります
- Gemini(Google): アップロードしたスプレッドシートをもとに、グラフを作れます。1回の指示で最大10ファイル(利用状況により変わります)、動画以外のファイルは1つ100MBまでです。使えるファイルの形式は、公式ヘルプで確かめてください
Claude で使う場合は、表計算ソフトのデータを CSV で書き出して渡すのがおすすめです。
プロンプトの例
添付はお客様アンケートの回答(CSV)です。
1. 質問ごとに、回答の件数と割合を表にしてください
2. 自由記述の回答を内容で5つ程度に分け、件数と代表的な回答を示してください
3. 集計に使った手順を書いてください
4. データから言えないことは推測で書かないでください
渡す前と、受け取った後に、次のことをしてください。
- 個人を特定できる列を消す。 名前・メールアドレス・電話番号などの列は、集計には要らないことがほとんどです
- 合計を元のシートで検算する。 件数の合計や割合のいくつかを、表計算ソフトで確かめます。AIの集計を、確かめずにそのまま報告に使わないでください
AIで広告用の画像を作ってもいい?
生成AIで、チラシやバナーの画像の案を作ることもできます。ただし、著作権に注意が要ります。
文化庁著作権課の「AIと著作権に関する考え方について」の概要(令和6年(2024年)4月)によると、AIで作った画像を公表したり販売したりする場合も、ふつうの著作権侵害と同じ基準で判断されます。既存の作品との類似性(創作的な表現が共通していること)と依拠性(既存の作品をもとにしたこと)が認められ、かつ、権利制限規定(私的使用のための複製など、許諾なく使える場合を定めた規定)の対象外であれば、侵害になります。また、その作品がAIの学習に使われていた場合は、使う人がその作品を知らなくても、通常は依拠性があったと推認される、とされています。
このため、特定の作品名・キャラクター名・他社の広告を指示に入れて画像を作るのは避けたほうがよいと、私たちは考えます。なお、この「考え方」は法的な拘束力を持つものではない、と文化庁は説明しています。
AIが作った広告文や画像、出す前に何を確かめる?
AIが作った文でも、世に出すのは自社です。出す前に、次の3つの面から確かめます。
1. 景品表示法(不当な表示)
景品表示法が禁止する不当な表示には、主なものとして次の2つがあります(消費者庁の説明。2026年10月時点)。
- 優良誤認表示: 商品やサービスの内容を、実際より、または事実と違って競合より、著しく優れていると消費者に見せる表示
- 有利誤認表示: 価格などの取引条件を、実際より、または競合より、著しく有利だと消費者に誤解させる表示
効果や性能をうたう表示については、消費者庁が、裏付けとなる合理的な根拠を示す資料を求めることがある、とも説明されています。
消費者庁の説明では、景品表示法の不当表示の規制を受けるのは、表示の内容の決定に関与した事業者(広告主)です。AIで作った文について触れた説明ではありません。私たちは、AIで作った文でも、自社が出すものとして景品表示法に合うかを確かめるのが安全だと考えます。
2. 著作権
文化庁の概要は、AIでの生成が適法にできる場合でも、生成したものの利用(SNSへの公開など)まで直ちに適法になるわけではなく、場面ごとに判断が要るとしています。
3. 生成したものの権利
Anthropic の消費者向けの利用規約(2025年10月8日発効)は、Claude の出力について Anthropic が持つ権利があれば、それを利用者に譲ると書いています。Google の利用規約(2026年7月30日発効)は、一部のサービスで生成した独自のコンテンツについて、Google は所有権を主張しないとしています。API など、別の規約(Anthropic の Commercial Terms of Service など)が適用されるサービスもあります。会社で契約するときは、そのプランに適用される規約を確かめてください。
一方で、文化庁の概要は、AIが自律的に生成したもの(簡単な指示でボタンを押すだけで生成したものなど)は、著作物に当たらないと考えられる、としています。人が道具としてAIを使ったと認められれば著作物になり得ます。ただし、アイデアを示すだけの指示なら、長くても足りないとされています。人が創作的に手を加えた部分は、通常、著作物性が認められるとも書かれています。AIに任せきりで作ったコピーや画像は、まねされても自社の著作物として守れない可能性があります(編集部の考えです。個別の事情によります)。
出す前のチェックリスト
- [ ] 数字・実績・効果・「地域で一番」のような表現に、社内で示せる根拠の資料がある
- [ ] 価格・期間・特典などの条件が、実際の条件と合っている
- [ ] AIが材料にない特長や数字を足していないか、元の材料と見比べた
- [ ] 画像や文が、知っている既存の作品や他社の広告に似すぎていない
- [ ] 特定の作品名・キャラクター名・他社の商品名を指示に入れて作っていない
- [ ] 判断に迷う表現は、消費者庁や文化庁の資料、または専門家に確かめた
よくある疑問
専任のマーケティング担当がいなくても使える?
使えます。兼任で時間が限られる場合は、最初から広げず、毎月のメルマガの案出しや、アンケートの集計など、1つの仕事に絞って試すのがおすすめです。
無料のプランでも試せる?
Claude のCSVの分析は、公式ヘルプで無料の Free を含む全プランが対象とされています。Gemini の Deep Research も、すべてのユーザーが使えるとされています(どちらも2026年10月時点)。ただし Deep Research は、有料プランのほうが作れるレポートの数の上限が高くなります。仕事で続けて使うなら、会社として契約するプランと、入力してよい情報のルールを決めてからにしましょう。
AIに任せきりにしていい?
おすすめしません。AIの出力には、間違いや根拠のない言い切りが混ざることがあります。材料を渡し、出てきたものを人が確かめる流れを前提にしてください。
合わない場合と注意点
- 確かめる時間が取れない仕事は、まだAIに渡さない。 確かめずに出すと、誤った情報や不当な表示につながるおそれがあります
- 機能は変わります。 この記事の内容は2026年10月時点です。使う前に各社の公式ヘルプで確かめてください
- 法律の判断は個別の事情によります。 迷う表現は専門家に相談してください
まとめ
- 生成AIは、市場・競合の下調べ、広告文・LP・メルマガの案、アンケートなどの集計に使える
- 広告文は、材料を渡して「材料にないことを書かない」と決めてから頼む
- 数字は個人を特定できる列を消して渡し、元のデータで検算する
- AIで作った文や画像も自社が出すものとして、景品表示法と著作権の面から確かめる
自社の仕事に合わせたプロンプトの作り方や、社内でのルールづくりから学びたい方は、せとうちAIの研修のページをご覧ください。ChatGPT を中心に学びたい方は「岡山でChatGPTを学ぶ・活用するなら」も参考になります。
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