ノーコード(Bubble)で作ったサービスをAI駆動開発に完全移行。ノーコードvsAI駆動開発についてまとめてみた


SETODEZA合同会社 代表 / せとうちAI 編集長
BBT大学卒業。システム開発・スタートアップ支援・マーケティングを経て生成AI事業を開始。SETODEZA合同会社代表として岡山・香川の中小企業へのAI導入を支援するほか、岡山市ももスタ「NoCodeBootCamp」を運営。せとうちAIの企画・編集を担当。
監修
赤木 孝臣SETODEZA合同会社 代表 / せとうちAI 編集長
「ノーコードで作ったサービスが、だんだん重くなってきた」「作り込みたい機能が、ツールの制約でできない」。こうした壁にぶつかると、AIを使った開発への“作り直し”が選択肢に入ってきます。
- この記事の対象
ノーコード(Bubble など)でサービスや社内ツールを作って運営していて、拡張性・コスト・作り込みの限界を感じ、AIを使った開発への作り直しを考えている中小企業の担当者・個人開発者
- 結論
- ノーコードは素早く形にできるが、規模の拡大・複雑な処理・細かい作り込み・基盤の持ち運びには限界が出やすい
- AIにコードを書かせる開発(AIネイティブ開発・AI駆動開発)が現実的になり、少人数でもコードでの作り直しに踏み込みやすくなった
- 「今すぐ全部作り直す」より、何が限界になっているか・作り直す目的・手を入れ続ける体制を見極めてから判断する
- ツールの料金・仕様・用語は変わりやすいので、2026年10月時点の情報として最新は公式で確認する
「ノーコードで作ったサービスが、だんだん重くなってきた」「作り込みたい機能が、ツールの制約でできない」。こうした壁にぶつかると、AIを使った開発への“作り直し”が選択肢に入ってきます。
この記事は、ノーコードツール(Bubble など)でWebアプリやスマホアプリ、社内ツールを運営していて、AIを使った開発へ移行すべきか迷っている方に向けて、判断の基準と進め方を整理するものです。結論から言うと、移行は「速くなる・安くなる」と決まっているものではなく、何が限界になっているか・作り直す目的・体制しだいです。まずは、ノーコードとAIを使った開発、それぞれの向き・不向きを押さえましょう。
(料金・ツールの仕様・用語は変わりやすいので、本記事は2026年10月時点の情報です。最新は各ツールの公式情報でご確認ください。)
ノーコード(Bubble)とは——速く形にできるのが強み
ノーコードとは、プログラムのコードを書かずに、画面上の操作(ドラッグ&ドロップなど)でアプリを作る開発のやり方です。代表的なツールの Bubble は、プログラミング不要でWebアプリケーションを開発できるノーコード開発プラットフォームで、画面(UI)の設計から、データベース、処理の流れ(ワークフロー)までを画面上で組み立てられます。
ノーコードの良い点は、主に次のとおりです。
- コードが書けなくても、アイデアを素早く形にできる
- 画面を見ながら作れるので、仕様の確認や手直しが早い
- 最初の開発コストや人員を抑えやすい(試作・社内ツール・予約やマッチングのサービスなどに向く)
- サーバーの用意や公開(デプロイ)、環境構築といった“裏側”の作業をツールが引き受けてくれる
スピードと手軽さが大きな武器です。だからこそ、多くのサービスが「まずはノーコードで」と立ち上がります。
ノーコードの限界——どこで「作り直し」を考えるのか
一方で、サービスが育ってくると、次のような壁にぶつかることがあります。
- コードとして取り出せない(ベンダーロックイン):Bubble は、作ったアプリをソースコードとしてエクスポートできません。別の基盤へ移すときは、移行先でロジックを作り直す必要があります(データは CSV・JSON で書き出せます)。ツールに依存するぶん、料金改定や仕様変更の影響も受けやすくなります。
- パフォーマンス・拡張性:大量のデータ処理や高トラフィックのサービスでは、コードで作る場合に比べてパフォーマンスが劣る場合があります。ユーザーやデータが増えると、動作が遅くなることもあります。
- 細かい作り込みの制約:高度なアルゴリズム、リアルタイムの処理、複雑なデータ処理は、ノーコードの制約を受けやすい領域です(外部のサービスとAPIで連携して補える場合もあります)。
- ランニングコスト:有料プランは月額課金で、規模が大きくなると費用がかさむことがあります(金額・プランは変わるので公式で確認してください)。
ここで押さえておきたいのは、ノーコードからの移行は、多くの場合「一部だけ直す」では済まず、実質的に“作り直し”になることです(ロジックをコードとして持ち出せないため)。この「移行の難しさ」が、早めに方針を決めておきたい理由になります。
とはいえ、これらは「ノーコードはダメ」という話ではありません。あくまで、規模や作り込みが一定を超えたときに出てくる、向き・不向きの問題です。
AIネイティブ開発・AI駆動開発とは
以前は、「コードで作り直す」=専門のエンジニアを増やし、コストと時間をかける、というのが当たり前でした。ところがここ数年で、AIにコードを書かせる開発が現実的になり、少人数でもコードベースの開発に踏み込みやすくなっています。これが「ノーコードからの移行」が話題になっている背景です。
言葉の整理をしておきます。
- AI駆動開発:人が主導しながら、AIがコード生成・テスト・ドキュメント作成などを支援する開発のやり方。
- AIネイティブ開発:生成AIやAIエージェントの活用を前提に、開発のプロセスや環境そのものを設計する考え方。
ある解説(Sun*、情報処理推進機構(IPA)の整理に基づく)では、AI駆動開発を「人主導+AI支援」、AIネイティブ開発を「AIエージェントが設計・実装・テストなど複数の工程を主体的に担う」ものと区別しています。ただし、これらの言葉の使い方はまだ定まっておらず、媒体によって幅があります。本記事では、両方をまとめて「AIを使った開発(AI駆動開発)」と呼び、必要なところで使い分けます。
なお、自然言語の指示だけでアプリを作れるツール(Lovable・bolt.new・v0 など)も増えています。「ノーコードか、コードか」の二択ではなく、AIがその間をつなぎ始めている、ととらえると分かりやすいでしょう。
ノーコードとAIを使った開発、それぞれの良い点・悪い点
移行を考えるときは、両方の向き・不向きを並べて比べるのが近道です。次の表は、一般的に言われる整理で、特定のサービスでの測定結果ではありません。
| 観点 | ノーコード(Bubble など) | AIを使った開発(AI駆動/AIネイティブ) |
|---|---|---|
| 作る速さ(立ち上げ) | ◎ 画面操作で素早く作れる | ○ AIで加速するが、設計・確認の手間はかかる |
| 初期コスト・人員 | ◎ 抑えやすい | △ 使える人や体制の準備が要る |
| サーバー・公開・環境構築 | ◎ ツールが引き受ける | △ 自分たちで用意・管理する(クラウド等で軽くはできる) |
| 細かい作り込み・独自の処理 | △ ツールの制約を受けやすい | ◎ コードで自由に作り込める |
| パフォーマンス・拡張性 | △ 規模が大きいと不利な場合 | ◎ 規模に合わせて設計できる |
| 基盤の自由度・持ち運び | △ ツールに依存(コードは取り出せない) | ◎ 自分たちの手元にコードが残る |
| 運用・保守 | ○ 画面で直せる | △ コードを理解・レビューできる人が要る |
ざっくり言うと、「速く・安く・手軽に」ならノーコード、「大きく・自由に・長く育てる」ならAIを使った開発が向きます。どちらが上ということではなく、いまのサービスがどの段階にいるかで答えが変わります。
一点、AIを使った開発にも落とし穴があります。AIはコードを速く書ける反面、スピードを優先しすぎると“技術的負債”(あとで直しづらいコードやしくみ)がたまりやすくなります。生成されたコードを人がレビューし、保守し続ける体制が要る、という点は押さえておきましょう。
このメディアを運営するSETODEZA合同会社の例
このメディア(せとうちAI)は、瀬戸内で生成AIの導入支援・DX推進・Webデザイン・システム開発などを手がける SETODEZA合同会社 が運営しています。
その SETODEZA合同会社が手がける「ぐらごる」は、グラウンドゴルフ専用のスコア分析アプリです(スコアの記録・分析のほか、オウンドメディアの運用や大会の管理・運営なども行っています。利用は無料)。この「ぐらごる」を、もともとノーコードの Bubble で作っていましたが、AIを使った開発(AI駆動開発)に完全移行し、iOS・Android のアプリとして作り直しました。
移行のおもな理由は、次の2つだとしています。
- 開発スピードの低下:作り込むほどノーコードのままでは手を入れづらくなり、新しい機能の追加や改善のスピードが落ちてきた
- アプリの使い勝手(UX)の改善:利用者により快適な操作感を届けるため、画面や動きを自由に作り込みたかった
自分たちでノーコードからの移行を経験しているので、このメディアでは“作り直し”の判断を、実感をふまえてお伝えしていきます。移行で実際に効いた点・つまずいた点は、別の記事で具体的にまとめる予定です。
これから作るなら、最初からAIを使った開発がいい?(SETODEZAの見方)
「新しく作るなら、ノーコードとAIを使った開発のどちらがいいか」も、よく迷うところです。SETODEZA合同会社の経験からは、次のような見方があります(あくまで同社の見解で、どんなサービスにも当てはまるわけではありません)。
- ノーコードは、サーバーの用意や公開(デプロイ)、環境構築といった裏側の作業をツールが引き受けてくれるため、立ち上げが速く手軽。ここは大きな利点。
- 一方で、ノーコードからの移行は基本的にとても難しく、多くの場合は作り直しになる。
- AIを使った開発は、コードを速く書ける反面、スピードを優先しすぎると“技術的負債”がたまりやすい。生成されたコードをレビューし、保守する体制が要る。
- これらをふまえると、長く育てたいサービスなら、最初からコードで(AIを活用して)作るという選択も十分にあり得る。
つまり「速く試すならノーコード、長く育てるなら最初からコード(AI活用)」という軸で、作り始める前に見極めておくと、あとの大きな作り直しを避けやすくなります。
移行すべき? 判断のチェックリスト
いまのサービスが移行に向くかどうか、次の観点で確かめてみてください。
移行を前向きに考えてよいサイン
- ノーコードの制約で、作りたい機能や処理が実現できなくなっている
- ユーザーやデータの増加で、動作やコストに無理が出ている
- 開発や改善のスピードが落ちてきた、または使い勝手(UX)を本格的に作り込みたい
- そのサービスが事業の中心で、長く育てたい(基盤を自分たちの手に持ちたい)
いったん立ち止まった方がよい場合
- まだ検証段階で、作るものが固まっていない(ノーコードの速さが活きる)
- 作り直す目的が「なんとなく新しいから」にとどまっている
- 移行後に手を入れ続ける体制(AIを使える人・保守できる人)を用意できない
ポイントは、全部を一度に作り直す必要はないことです。まずは限界が出ている部分だけを切り出して作り直す、という進め方もあります。
移行を決めたときの進め方と注意点
AIネイティブ開発の導入ステップ(Sun* の整理)を、中小企業・小さなチーム向けにかみ砕くと、次のようになります。
- 現状の棚卸し:どの機能・データが、どれくらいの規模で動いているかを整理する
- 小さく試す(PoC):効果が見えやすい一部分から、AIを使った開発を試す
- データの持ち出し準備:ノーコード側から CSV・JSON でデータを書き出せるようにしておく
- ルールを決める:AIにコードを書かせるときの、セキュリティと品質の確認の型を決める(生成されたコードは、本番に入れる前に人がレビューする)
- 役割を変える:作る人の役割を「全部手で書く」から「AIの成果を判断・管理する」へ寄せ、使える人を育てる
注意点として、AIが書いたコードはそのまま本番に入れず、動作とセキュリティを必ず確認します。移行の途中は、ノーコード版と新しい版を一定期間並行させる、データ移行の手順を先に固める、といった段取りが大切です。
よくある疑問
ノーコードはもう古いのですか?
いいえ。速く形にする・社内ツールを作る・検証段階で試す、といった場面では今も有効です。「規模・作り込み・基盤の持ち運び」が課題になったときに、AIを使った開発が選択肢に入る、という関係です。
コードが書けなくても移行できますか?
AIがコードを書く部分を支えてくれますが、生成されたコードを確認・判断できる人(または頼める相手)は必要です。丸投げで完結するわけではありません。
Bubble で作ったものはそのまま移せますか?
アプリのロジックはそのまま取り出せず、移行先で作り直しになります。一方、データは CSV・JSON で書き出せます。移行の前に、書き出しの手順を確認しておきましょう。
まとめ
- ノーコード(Bubble など)は速く・手軽に形にできるが、規模の拡大・複雑な処理・細かい作り込み・基盤の持ち運びには限界が出やすい
- AIにコードを書かせる開発が現実的になり、少人数でもコードでの作り直しに踏み込みやすくなった
- 移行は「速くなる・安くなる」と決まっているものではない。何が限界になっているか・作り直す目的・手を入れ続ける体制を見極めて判断する
- 全部を一度に作り直す必要はない。限界が出ている部分から小さく試し、データの持ち出しとコードのレビューの段取りを先に固める
「どこまでノーコードで、どこからAIを使った開発に切り替えるか」は、いちど専門家と一緒に整理すると判断しやすくなります。AIにコードを書かせる具体は、Claude Code を会社で導入するには?も参考にしてください。移行やAIエージェント開発の相談は、研修・導入支援のページからどうぞ。
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